知的財産・MOT

ライフサイエンス研究の必須リテラシーとしての知財/MOT教育

 生命科学や先端医療の研究現場では常にイノベーションのシーズが発生しているが、研究者はその成果をどのように解釈し応用展開していくかという観点からも自らの成果を複眼的に捉えることが同時に求められている。研究上のブレークスルーは新しいビジネスモデルを要求しており、基礎と応用は表裏一体なものとして論文と特許を同時に構想し、成果の活用形態をデザインする能力を個々の研究者のレベルで形成していくには時間と経験を要するが、研究、生命倫理、特許、技術標準、規制、ビジネス、社会情勢、政策などを鳥瞰的に捉える視点の育成には、大学院の早い段階からこの種の問題にも触れていくことが重要である。

 バイオ知財コースは、本学の生命科学系の研究者・大学院生を対象に、研究成果の取り扱いに関して「論文発表以外のパスとしての知的財産」、「事業戦略としての技術標準」、「新規技術を制御するルール」を三位一体として包括的に取り扱うリテラシーを構築していくためのカリキュラム開発と経験豊富な講師陣による教育の実践、更にはその基盤となる知的財産・イノベーション戦略に関する実証的な研究活動を通じて、知財戦略・技術標準戦略の構築、イノベーション政策の立案、レギュレーションへの対応、企業の研究開発マネジメントの実行に必要な能力を具備した人材を養成していくことをミッションとしている。

 大学研究における成果の知財化は「実用化」という観点からは完成度に限界がある中での知的財産の取得となり、企業における研究成果の特許化とは異なる要因が多く、大学には基礎研究機関としての独自の知的財産戦略が存在している。産業界との様々な連携を有意義なものとするためにも、大学研究者側の知的財産に関する知識の普及と高度化が求められており、当コースの講義・演習はメディカル情報生命専攻だけでなく学内オープンとし、白金・柏・本郷の3地点中継講義を基本としている。

講義・演習の体系と目標

講義・演習は、下記の5つから構成されている。

バイオ知財法概論Ⅰ:バイオテクノロジー分野の知的財産入門:
研究者が知っておくべき知的財産に関する基礎的な知識を修得するとともに、バイオテクノロジー分野における代表的な特許やその役割について学ぶことにより、特許の重要性を理解する。
バイオ知財実務演習Ⅰ:特許を実際に書いてみる演習:
発明の創出から出願までの一連の過程を、具体的な題材を用いて実際に経験することにより、研究者が特許出願を行う際の各ステップの実態を体験的に理解すると共に、各ステップにおけるポイントや留意点等を効率的に修得する。
バイオ企業戦略論Ⅰ:バイオ分野に特化したアントレプレナーシップ教育プログラム:
様々なフレームワークによる産業分析を通じて、ビジネス分析、企業デザインの基礎を学ぶ。
バイオ知財法概論Ⅱ:知財分野のキャリアパスデザインと応用知識:
知財分野におけるキャリアパスデザインの事例を実際に第一線で活躍している講師から話を聴くと同時に、バイオ知財法概論Ⅰ において修得した基礎的な知識を前提として、知的財産の取得及び活用をより円滑に行うために重要と考えられる、発展的な知識を修得することを目的とする。
バイオ知財実務演習Ⅱ:ライフサイエンスと社会の接点を探る演習プログラム:
研究成果を社会に展開するために必要となる知識を、①企業の研究開発担当者のプレゼンを聴くことによるイメージの醸成、②自らが関心のある研究テーマと社会的な課題との関連性の俯瞰的な把握のためのマッピング演習、③自ら主導的に社会的な課題を解決していく手段としての起業知識獲得のためのスタートアップ起業のデザイン演習、の3つの側面からアプローチする講義と演習。

カリキュラム

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