ゲノム機能分野 平成30年度の学生募集をします

教授: 甲斐 知恵子
TEL: 03-5449-5497
E-mail: ckai{at}ims.u-tokyo.ac.jp
研究室HP

准教授: 米田 美佐子
TEL: 03-5449-5498
E-mail: yone{at}ims.u-tokyo.ac.jp

研究紹介

【キーワード】ウイルス学、エマージングウイルス、ワクチン開発、動物実験、がん治療

 エマージングウイルス感染症が近年社会的に大きな問題となっているが、未知のウイルスが本来の宿主域を超えてヒトに感染し病原性を発現する機構は、ウイルス学の本質的な命題でありながら未だに解明されていない。当研究室では、重篤なエマージングウイルス感染症の原因ウイルスを多く含むモノネガウイルス目(マイナス鎖一本鎖RNAウイルス群)を中心に解析を進めている。我々はゲノムを改変した感染性ウイルスを作出する「リバースジェネティクス」を世界に先駆けて樹立し、これを分子レベルから動物実験レベルで広く解析することによって、動物種を超えて感染する機序やウイルスの病原性発現機構の解明を試みている。また、ウイルスが宿主細胞内で相互作用する因子を網羅的に探索することで、宿主とウイルス間の攻防について包括的な解析を行っている。これらの基礎研究は、ウイルス感染症がもたらす様々な病原性の解明、延いては新たな治療法の開発につながると期待される。
 また、モノネガウイルス目に含まれるモービリウイルス属(麻疹ウイルス、イヌジステンパーウイルス等)は感染後の終生免疫効果や細胞性免疫誘導能の高さから、優れたワクチンベクターとして応用可能である。当研究室ではリバースジェネティクスを用いたワクチン開発も精力的に行なっており、有効なワクチンの存在しないリーシュマニア症やニパウイルス感染症に対する二価ワクチンを作製し、動物実験においてその有効性を確認してきた。


図1 リバースジェネティクス系を用いたリーシュマニア症に対する二価ワクチンの作製


 更に近年では、麻疹ウイルスが癌細胞に感染して殺傷する力を応用し、リバースジェネティクス系を利用して、癌細胞に対する感染・殺傷能力を保持したまま弱毒化した組換えウイルスを作出することに成功した。動物実験系において、この組換えウイルスが様々な種類のがん細胞の増殖をほぼ完全に抑制することを証明してきた。現在、有効な投与法や用量、有効性に関する分子生物学的な裏づけを含め、この組換え麻疹ウイルスを使った新たな癌治療法の開発に向けた橋渡し研究が進行中である。


図2 腫瘍細胞移植マウス内の組換え麻疹ウイルスの増殖図
 ニパウイルスは、1999年に始めて出現したバイオセーフティレベル4に分類される極めて致死率の高いエマージングウイルスであり、自然宿主であるオオコウモリから動物やヒトへの感染が起こり東南アジアで大流行を起こした。現在でも南アジア地域で頻繁に発生しているが、有効な予防法や治療法が確立されていないため、当研究室ではワクチン開発や抗ウイルス薬の探索を行っている。

研究室紹介

東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科
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