システム構造生物学分野(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所) 平成30年度の学生募集をします

教授 千田俊哉
029-879-6178
toshiya.senda{at}kek.jp
研究室HP

准教授 加藤龍一
029-879-6179
ryuichi.kato{at}kek.jp

研究紹介

【キーワード】放射光、X線結晶構造解析、構造生物学

人間の体は、およそ60兆個の細胞により構成されています。各々の細胞は基本的には同一の遺伝情報を持っていますが、体内には様々な性質をもつ細胞があり、ヒトでは約200種類の細胞があるといわれています。この多様性は、細胞内で発現する遺伝子の差に起因すると考える事ができます。真核生物の細胞では、DNA分子は小さな核内に格納されています。しかしDNAは非常に巨大な分子で、ヒトの場合、細胞内にあるDNAをつなぎ合わせると2mにもおよぶ事が知られています。このため、DNA分子は核内でヒストンと言われるタンパク質等と複合体を形成し、クロマチン構造というコンパクトな構造を取る事で核に格納されているのです。しかしながら、クロマチン構造を取る事で、遺伝情報を読み取るための分子複合体がDNA分子と相互作用ができなくなり、遺伝情報の読み取りが阻害されてしまいます。つまり、遺伝情報を読み出すためには、クロマチン構造がほどかれ、DNA分子に直接アクセスできるような状態になる事が必要なのです。実際に、真核生物の細胞中には、クロマチン構造の特定の場所をほどくための仕組みがあります。近年の研究では、DNAやヒストン分子の化学修飾がエピジェネティック情報として機能し、遺伝情報の読み出しパターンを制御している事が分かってきました。つまり、これらの化学修飾は、クロマチン構造の形成や破壊をコントロールすることで、遺伝情報の読み取りをコントロールしているようなのです。重要な点は、このような化学修飾は親細胞から娘細胞に伝達される点です。エピジェネティック情報が親細胞から娘細胞に伝達されることで、細胞の形質が世代を超えて維持されるのに役立っていると考えられます。
これまでに、DNAの化学修飾の伝達に関しては精力的に研究がなされ、その分子機構が明らかにされて来ました。これとは対照的に、ヒストンの化学修飾の伝達に関してはあまり多くのことが分かっていません。これは、ヒストンの化学修飾の伝達の分子機構が極めて複雑な過程であることが原因と考えられます。つまり、核内には様々に化学修飾されたヒストンが無数にあり、しかもこれらを親細胞から娘細胞に運ぶタンパク質(複合体)の数も多く、全体として非常に複雑な過程になっているのです。このような問題を通常の生化学的、生物学的な方法を使って解き明かす事は極めて困難です。しかしヒストンの化学修飾の伝達の問題は、生物学分野において極めて重要で解くべき課題であるのです。
私たちのグループでは、上記の問題をヒストンのエピジェネティック情報伝達に関わるタンパク質分子複合体の立体構造に基づいて解こうと考えています。これまでに、立体構造に基づいた遺伝学的、生化学的な解析を行うことで、ヒストンの化学修飾の伝達やその機能に関して、いくつかのモデルを提唱してきました(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,104,4285-4290(2007),Nature,446,338-341(2007),Proc. Natl. Acad. Sci.USA,107,8153-8158(2010))。
立体構造の決定には、主にエックス線結晶構造解析の手法を使っています。私たちの研究室は高エネルギー加速器研究機構(KEK)内に位置し、シンクロトロン放射光施設であるフォトンファクトリー(PF)を容易に利用できる環境です。PFのタンパク質結晶構造解析用のビームラインは極めて高性能で、これまでに多くのタンパク質の構造決定に役立ってきました。また、構造生物学研究センターには、最先端の機器を備えた生化学・分子生物学用の実験室があります。
上記のプロジェクトに加え、私たちの研究室では、ピロリ菌由来の発がんタンパク質による細胞内シグナルかく乱の分子機構の研究や(Cell Host Microbe,12,20-33(2012))、生物学的、産業的に重要な酵素の研究なども行っています。さらに、PFのビームラインにおいては、構造生物学用のビームラインの開発も行っています。
私たちの研究室では、最先端の環境で私たちと一緒に研究をしたいというやる気のある学生を求めています。構造生物学の研究をやってみたいという意欲のある学生は、是非、私たちの研究室の門を叩いてください。

研究室紹介

東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科
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