生物機能情報分野 平成30年度は学生募集をしません

准教授: 北尾 彰朗
分子細胞生物学研究所(本郷)
E-mail: kitao{at}iam.u-tokyo.ac.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】バイオ分子、分子動力学、複合体構造予測、機能メカニズム、カスケード型シミュレーション

 生命体中にはリボゾーム・トランスポータ・べん毛などといったナノレベルの機能ユニットが多数存在し、複雑な相互作用によって生命活動を維持している。これらの機能ユニットは蛋白質などの生体高分子やそれらの集合体である生体超分子であって、進化によって洗練されてきたバイオナノマシンといえる。
この研究室では、バイオナノマシンが立体構造を形成し機能を発揮するまでの過程を、分子シミュレーションなどの計算物理化学的手法と情報学的な手法を用いて解明すると共に、バイオナノマシンの制御を可能にし、また、得られた知見を基に新たなバイオナノマシンをデザインすることを将来的な目標としている。

大規模シミュレーションによるバイオナノマシンの作動原理解明

バイオナノマシンがどのように立体構造形成し、機能を発揮することができるのかは、基礎科学に限定されない大きな問題であり、バイオナノマシンを制御して病気の治療につなげたり、バイオナノマシンを改変したりデザインするためにも必要である。この問題を解明するには、原子レベルで何が起こっているのかを明らかにする必要がある。我々は、スパコンやPCクラスター・GPGPUマシンなどのコンピュータを用いて大規模なシミュレーションをおこなうことで、実験では直接観察することができない、バイオナノマシンが機能する原子レベルの過程をin silicoで観察することを可能にしてきた。これによってその作動原理の解明が可能になってきた。


図1 バイオナノマシン系は周りの溶媒分子も含めると数百万原子にも達する。シミュレーションで研究している細胞べん毛システム(左上)、シミュレーションしたべん毛モーター固定子のプロトン輸送(右上)とウイルスタンパク質複合体の細胞外膜貫通過程(下)。

バイオナノマシンの立体構造予測とモデリング

 機能解明のために大規模シミュレーションを実行する前提として、まずバイオナノマシンの立体構造を明らかにする必要がある。当研究室では、シミュレーションとバイオインフォマティクスを用いてバイオナノマシンの立体構造を予測しモデリングする方法を開発している。代表的なものは、タンパク質―低分子複合体予測や、図2で示したタンパク質-タンパク質複合体の構造予測などである。また、従来から立体構造決定に主に用いられてきた結晶解析・溶液NMRだけでなく、中性子散乱、テラヘルツ分光等の実験データからも立体構造やダイナミクスをモデル化する手法を開発している。


図2 複合体予測において結合自由エネルギー計算によって評価したタンパク質‐タンパク質候補立体構造。

バイオナノマシンのシミュレーション法開発

 京コンピュータも含めた利用可能な計算機資源を最大限に活用して、巨大なバイオナノマシンの分子シミュレーションを効率的に行う手法を開発している。具体的には、大規模なバイオナノマシンのシミュレーションを、京コンピュータなどの超並列コンピュータやグリッドコンピューティング、PCクラスターなどによって精密かつ効率的に実行するための並列計算アルゴリズム開発や、これを実装したソフトウエア開発をおこなっている。また、より効率的な計算をおこなうため、粗視化したモデルによるシミュレーション法や、複数レベルのモデルを組み合わせた階層的シミュレーション法の開発もおこなっている。

本研究室では、上記のような複雑な現象を明らかにするため、様々な側面からアプローチを行い、統合的な解明を進めている。これまでに在籍した大学院生・研究員の学部までの専門は、生物学、化学、物理学、薬学、情報学、計算機科学など多岐にわたる。本研究室では従来の学問の枠にとらわれない新しい発想法を用いた研究をおこなっているので、学部での専門にこだわらず新しい分野を開拓していく意欲のある学生を大いに歓迎する。

共同研究・研究体制

 内外の理論研究者・実験研究者と綿密な議論をおこない、多数の密接な共同研究を展開している。

研究室紹介

東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科
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