細胞機能情報分野 平成30年度は学生募集をしません

准教授:中江 進
TEL:03-6409-2111
E-mail: snakae{at}ims.u-tokyo.ac.jp
システムズバイオロジー研究分野

研究紹介

【キーワード】疾患モデル動物、アレルギー、自己免疫、サイトカイン

 当研究室では、アレルギー等の難治性慢性炎症疾患の発症および病態形成に関与が疑われる病因遺伝子をオミックス解析等により探索し、候補遺伝子の欠損マウスの作製およびその利用により、アレルギー等の発症における候補遺伝子の機能解析を行っている。

アレルギーの発症機構の解析

・ アレルギー関連遺伝子の探索
・ 候補遺伝子欠損・改変マウスの作製
・ 遺伝子欠損・改変マウスを用いたアレルギー性モデル(喘息、皮膚炎、鼻炎、食物アレルギー等)の解析

 アレルギー疾患は、現在、患者数の増加、難治重症化および若年齢化が大きな社会問題となっている。花粉症だけでも国の医療負担は年3-4,000億円、全体の経済的損失は約一兆円規模と見積もられており、その他のアレルギー疾患は花粉症には及ばないものの、患者数の増加に歯止めがかかっておらず、その損失は増加の一途をたどるのが明白な現状である。その歯止めがかからない理由には、例えば、喘息では、吸入β-アドレナリン受容体選択的刺激薬や吸入ステロイドによる対症療法が主流となっているが、喘息や花粉症を含め、多くのアレルギー疾患では根本治療法が存在しないためである。根治療法の確立がなされていない理由に、アレルギー疾患の病態の多様性による発症機序の複雑さがあり、その発症機序の理解のための基礎研究が充分でないためである。1966年にアレルギー誘発因子として石坂夫妻によりIgEが同定されて、まもなく半世紀を迎えようとしているが、IgEを介した免疫応答の理解だけではアレルギー疾患の発症機序の全容を明確にするには至っていない。また、IgEに依存したTh2型・アトピー型アレルギー患者だけでなく、近年ではIgE非依存型のTh17型・非アトピー型アレルギー患者が増えている。後者のTh17細胞(Th1細胞とTh2細胞とは異なるヘルパーT細胞)の発見は最近の話であり、アレルギー疾患におけるTh17細胞の役割については、当研究室がその端緒を開いた分野ではあるものの、その理解にはさらなる精力的な基礎的研究が必要である。Th2型・Th17型、アトピー型・非アトピー型、その他の型に限らず、そもそも、アレルギーを引き起こすアレルゲンの感作を成立させるためのトリガーすらはっきりしていない。例えば、疫学的な調査から、小児気管支喘息患者、および、成人アトピー性アレルギー疾患患者の主要なアレルゲンはダニと考えられているが、実際にアレルギーを引き起こすダニ抗原は同定されておらず、ゆえに、ダニアレルゲンに対する有効的なワクチン開発には至っていない。また、ダニ抗原に感作され、最終的にどのような経路で個体がアレルギー症状を発症し、発症から難治・慢性化に至るメカニズムについても未だ不明な点が多く、その解明が急務な課題である。当研究室では、これまで、IgEに反応する免疫細胞であるマスト細胞を活性化する因子IL-33やTh17細胞が産生するIL-17を中心にアレルギー疾患の発症機序の解明に取り組んできた。現在、これら以外にマスト細胞やTh17細胞を活性化する因子の他、オミックス解析により、アレルギーの発症の責任遺伝子の同定を試みている。得られた知見をもとに、予防および治療法の確立への基盤を提供することができるものと考えている。


皮膚炎モデルマウス
ある遺伝子を欠損することによって産まれてすぐ皮膚炎を発症するマウス(A-C)。D-Fは同腹の正常マウス。


IL-33による喘息誘導機構

研究室紹介

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