臨床医科学分野 平成30年度の学生募集をします

蛋白質代謝研究室

教授: 田中啓二
東京都医学総合研究所
TEL: 03-5316-3337
E-mail: tanaka-kj{at}igakuken.or.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】Protein Degradation, Proteasome, Ubiquitin, Autophagy, Mitophagy

生体を構成する主要成分であり、生命現象を支える機能素子であるタンパク質は、細胞内で絶えず合成と分解を繰り返しており、きわめて動的なリサイクル(循環)システムを構成している。実際、細胞内の全てのタンパク質は、千差万別の寿命をもってダイナミックに代謝回転(ターンオーバー)しており、生物はこの新陳代謝を通して良・不良を問わず不要なタンパク質をクリアランス(細胞内を浄化)するとともに、エントロピーの増大(秩序から無秩序への劣化)を食い止め、生体の恒常性維持を図っている。われわれは生命科学史上最も巨大で複雑なタンパク質分解装置であるプロテアソーム(真核生物のATP依存性プロテアーゼ複合体)とそのパートナーであるユビキチン(分解シグナルとして働く翻訳後修飾分子:2004年ノーベル賞)の動態と作動機構について、分子から個体レベルまで多面的に研究を進めている。このユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)は多様な生体反応を迅速に、順序立って不可逆的に進める手段として様々な生命現象に不可欠な役割を果たしている。高齢化社会を迎えた今日、UPSの破綻に伴って発症する疾病が急増しており、タンパク質分解の生理と病態に関する研究の重要性は、拡大の一途を辿っている。
そこで、UPSの分子基盤を解明することで生命の根幹を支える仕組みを明らかにするとともに、癌やパーキンソン病などUPSの破綻によって引き起こされる疾患の発症機構の解明を目指す。


ゲノム動態プロジェクト

教授: 正井久雄
東京都医学総合研究所
TEL: 03-5316-3231
E-mail: masai-hs{at}igakuken.or.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】DNA複製、グアニン4重鎖、ゲノム安定性、クロマチン高次構造、複製チェックポイント、がん

染色体DNA複製は、正確に、高速に、秩序正しく起こる。この過程の異常は、がん細胞や老化細胞に見られるゲノムの遺伝的不安定性(変異、染色体の欠損や再編成など)を引き起こす。実際、最近の研究から、内的・外的な原因による複製障害に対する適切な細胞応答の破綻が、がん細胞の初期遺伝的変化の主要な要因になっていることが示されている。また複製制御に関与する因子が臓器、組織の発生・分化に直接的に関与する可能性も示唆されている。さらに、グアニン4重鎖構造を始めとする非B型DNA構造が、複製制御の種々の側面で鍵を握る役割を果たしていることが明らかになってきた。私達は、染色体複製制御の普遍的なメカニズムの解明を基盤に、ゲノムDNA構築とその機能発現制御の新しい原理の解明を目指す。具体的には大腸菌、分裂酵母、動物細胞、マウス個体を用いて、次のような課題にアプローチする。ゲノム複製の研究から、ゲノムの新原理の解明に挑むチャレンジングな研究に参画したい大学院生を募集する。
研究テーマ
1 ゲノム複製の普遍的メカニズムの解明と複製システムの進化
2 クロマチン構造の制御と複製の時空間プログラム制御機構
1,2の研究ではグアニン4重鎖(図1)がこれらの制御に重要な役割を果たす事が明らかとなってきた。保存された核因子Rif1は複製タイミング制御に中心的な役割を果たす(図2)。
3 ゲノムDNA上の非B型DNA構造の生物学的意義の解明
グアニン4重鎖を含む非B型DNA構造の新規機能の発見と、ゲノム機能制御の新しい原理解明を目指す。
4 複製ストレスに対する細胞応答機構の解明と発がん、疾患への関与
複製ストレスチェックポイントメディエーターClaspinの構造と機能の解明。複製開始制御と複製ストレス応答における機能の解明・分子内相互作用による機能制御機構、栄養、温度、酸素など種々のストレス応答の仲介分子としての機能の解明を目指す。
5 複製因子の発生制御における機能の解明
Cdc7キナーゼ、Claspinの発生・分化、脳を含む種々の臓器・組織の発生など個体レベルでの役割をモデル動物を用いて解明する。
6 複製、細胞周期因子と疾患の関連と、これらを標的とした新規な創薬戦略の開発、複製メカニズムに基づく新規細胞制御技術の開発
複製制御因子の変異がもたらす疾患の分子基盤の解析と、複製因子、チェックポイント制御を標的とする新規創薬戦略を開発する。また、得られた複製の新規メカニズムに基づき、細胞機能改変のための新規技術の開発を行う。


図1 グアニン4重鎖(G4)構造

図2 Rif1は 遺伝子間領域に存在する G4構造に結合し、クロマチンを束ね、
核膜近傍に複製抑制ドメインを形成する。
研究室会議の予定
毎週月曜日9:30~10:30 Journal Club, 毎月第一月曜日9:30~17:00頃までProgress Report会議、その他毎週金曜はグループ別discussionを行っています。
(事前連絡の上いつでも見学にいらしてください)
参考文献
1 Matsumoto, S. et al. (2017) Mol. Cell. Biol. In press
2 Yang, C-C. et al. (2016) Nature Communications 7:12135.
3 Kanoh, Y. et al. (2015) Nature Struct. Mol. Biol. 22: 889-897.
4 Yamazaki, S. et al. (2013) Trends in Genetics 29: 449-460.
5 Yamada, M. et al. (2013) Genes and Development 27: 2459-2472.
6 Yamazaki, S. et al. (2012) EMBO J. 31: 3167-3177.
7 Hayano, M. et al. (2012) Genes and Development 26: 137-150.
8 Hayano, M. et al. (2011) Mol. Cell. Biol. 31: 2380-2389.
9 Matsumoto, S. et al. (2011) J. Cell Biol. 195: 387-401.


統合失調症の原因究明と予防・治療法の開発プロジェクト

教授: 糸川 昌成
東京都医学総合研究所
TEL: 03-5316-3228
E-mail: itokawa-ms{at}igakuken.or.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】精神疾患、心、脳、分子生物学、ゲノム

ヒトはなぜ心を病むのか。かつては、この答えを宗教や哲学の領域が探究した。この問答に医学が参入するようになって、まだ300年ほどしかたっていない。我々は、生物学の方法と道具を用いて、脳と心が織りなすこの難問に挑んでいる。
 脳波や画像を含む身体的な検査で何も異常が見られないのに、情動や思考に困難が生じる脳の疾病を機能性精神疾患という。統合失調症は、気分障害と並ぶ代表的な機能性精神疾患である。我々は、統合失調症の経験者の協力を得てゲノム解析やメタボローム解析を行い、統合失調症の原因解明に取り組んできた。当事者で多く見られるゲノム多型や代謝障害を、培養細胞や動物モデルで再現し病態を科学的に再構築している。また、特徴的なゲノム多型や遺伝子変異をもつ当事者からiPS細胞を樹立して、神経系へ分化させ病態を解析している。統合失調症は、どの民族でも100人に一人がかかる、比較的頻度の高い疾患である。人類が進化の過程で、この病態を淘汰せず一定頻度で経験し続けてきたのはなぜだろうか。モデル動物や培養細胞で再構成された病態には、そうした観点からも答えを見出そうとしている。
統合失調症では、脳の高次機能である能動性の意識や自己の同一性など、自我の機能にも困難を生じる。自我や自己意識といった、かつて哲学や宗教が挑んだ領域に、ミクロのレベルの生物学から解明に挑んでいる。(http://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/

参考:科学者が脳と心をつなぐとき(地域精神保健福祉機構)、統合失調症が秘密の扉をあけるまで(星和書店)、臨床家がなぜ研究をするのか(星和書店)


平成23年4月より臨床研、神経研、精神研の3研究所が統合され、東京都医学総合研究所にとして新たに発足し、下記の場所の新研究棟で研究を行なっています。

所在地 〒156-8506 東京都世田谷区上北沢二丁目1番6号
電 話 03-5316-3100(代表)

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