システム情報生物学分野 平成30年度の学生募集をします

准教授: ケム ツアン(Kam Zhang)
理化学研究所(横浜)
E-mail: kamzhang{at}riken.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】タンパク質設計; タンパク質立体構造予測; X線初期位相; クライオ電子顕微鏡構造精密化; 計算的薬剤設計

タンパク質の複雑な生物学的機能は同様に緻密な三次元構造によって決定される。正確に折りたたまれた天然構造は細胞中におけるタンパク質の適切な機能実現にとって不可欠である。天然構造からの小さな歪みがタンパク質の機能不全を起こし疾患を生ずる。我々はその構造を計算機で研究することによってタンパク質の機能を理解しようと試みている。我々の研究の関心は以下の分野である。

1. タンパク質の折りたたみと設計

タンパク質の折りたたみの原理、特にエネルギー論、を理解することで、その塩基配列からタンパク質の立体構造を予測することができる。 我々はアミノ酸の選好性を環境変数の連続関数として表示する連続的3Dプロファイル法を提案している。フーリエ級数として表現されたこの残基選好性の連続的表示は、離散的な環境クラスに遭遇すると、わずかに異なる環境での残基選好性の急激な変化を回避する。プロファイルスコアの関数形を定義することによって、原子構造がよりタンパク質の側鎖に適合する残基環境を作るように順応する原子精密化の特性を描く道を開いた。我々はこのアプローチで構造精密化、またはab initio構造予測を探求している。 タンパク質設計によって、我々は自然ではまだ観測されていないタンパク質の世界の広大な領域を探求することができる。我々は計算機によるタンパク質設計によって、単量体L型タンパク質を安定二量体に変換した。また、計算機によってL型タンパク質の新しい骨格立体構造の再設計をした。我々はタンパク質設計の原理を新型構造、新しい生物学的機能、または効果的な治療学に応用することに関心を持っている。

2. X線結晶構造の位相問題

我々はX線結晶構造の位相問題を解決するために新しい計算手法を開発している。我々は電子密度の同時分布とその勾配を電子密度修正法の制約として使用して、タンパク質の位相改良の新しい手法を開発した。これはSQUASHというプログラムパッケージに組み込まれている。この手法とその後継であるDMはX線結晶構造の世界で広く使用されてきた。我々はタンパク質の位相改良のため、正確な電子密度分布、溶媒平滑性、電子密度の正確な局所形状、同一分子、それらの制約を一つの手順にまとめた。電子密度におけるこれらの制約は連立非線形方程式を解くことによって同時に満たされる。我々は新しい制約を探求し、位相問題の解決に使用する。

3. スキャフォールドを基にしたドラッグデザイン

我々はスキャフォールドを基にしたドラッグデザインのパラダイムを開発した。これは、新たなスキャフォールドの発見や小分子阻害剤の設計のために、化合物の低親和性スクリーニングからスタートし、高スループット共結晶構造解析とコンピュータ解析を行う反復的アプローチを取り込んだものである。このスキャフォールドを基にしたドラッグデザインのアプローチを使用して、多くの新しいスキャフォールドが発見され、それをキナーゼや核内ホルモン受容体やホスホジエストラーゼ等のいくつかのタンパク質ファミリーの強力かつ選択的な阻害剤の開発のための基礎として使用した。これら阻害剤の数個は現在メラノーマや糖尿病のような様々な病気の治療のため臨床実験されている。我々はさらにこの手法を改良し、様々な創薬標的の新しい阻害剤を同定するのに利用していく。

参考文献

  1. Jiang, X., et al., J. Chem. Inf. Model., 56, 2413-2420 (2016)
  2. Kumar, A., et al., J. Comput-Aided Mol. Des., 30, 457-469 (2016).
  3. Kumar, A., et al., J. Chem. Inf. Model., 56, 965-973 (2016).
  4. Voet, A., et al., Angew. Chem. Int. Ed., 54, 9857-9860 (2015).
  5. Shrestha, R., et al., Acta Cryst., D71, 304-312 (2015)
  6. Voet, A., et al., PNAS, 111, 15102-15107 (2014).
  7. Kumar, A., et al., J. Chem. Inf. Model., 54, 2784-2793 (2014).
  8. Berenger, F., et al., J. Cheminformatics, 6: 23 (2014)
  9. Shrestha, R. et al., Proteins, 82, 2240-2252 (2014).
  10. Berenger, F., et al., Bioinformatics, 27, 939-945 (2011).

研究室紹介

東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科
最新発表論文
教養学部生へ

このページの先頭へ戻る