専攻設立の理念



メディカル情報生命は2015年、当時の情報生命科学専攻とメディカルゲノム専攻が合併して設置されました。現在の生命科学はゲノムシークエンス技術の飛躍的な進歩により膨大なデータを扱うようになりました。これらのデータから意味のある情報を引き出すためにはコンピュータサイエンスを駆使した情報科学が欠かせません。生命をシステムとしてとらえるため、生命科学と情報科学の融合は必然の流れであったと考えられます。一方、医学・医療の基礎となるメディカルサイエンスも大きな変貌を遂げています。医療を行うにあたってはEBM(Evidence Based Medicine)が重視され、それは様々な臨床上の知見や臨床試験のデータを治療の根拠にするということだけではなく、疾患をヒトの生物学として捉え、病態の解明とともに、病態に即した新しい治療が目指されるようになっています。そのためにゲノム科学を基盤とした新しい基礎生命科学の導入と橋渡し研究と言われる臨床医学への導出が求められています。生命科学と情報科学が融合しつつある現在、医学においてもビッグデータを扱える情報科学的視点が必須のものとなりつつあります。一方で、情報科学から導き出され結果は、ある意味数理的な推論であり、そこから得られた結論は分子生物学的に実証される必要があり、臨床で実証される必要があります。この視点こそが研究科の理念である「学融合」としての私たちの専攻の理念です。情報科学、分子生物学やゲノム科学などの生命科学の専門家、メディカルサイエンスの専門家が、それぞれの専門性を発揮しつつ、共同することでメディカル情報生命科学という新たな融合科学の確立を目指しています。それとともに、情報科学、分子生物学などのそれぞれを専門とする研究機関では学べない両方の視野を持つ人材の育成に力を入れています。特にbioinformaticsを専門とする人材は決定的に不足しており、新たな人材を生み出していきたいと考えています。

専攻紹介

東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科
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