大規模バイオ情報解析分野

教授: マーティン・フリス
E-mail: mcfrith{at}edu.k.u-tokyo.ac.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】sequence algorithms、probabilistic models、genome evolution、genome regulation、repeats

 本研究室は、東京大学柏キャンパス、及び、東京お台場の産総研臨海副都心センターを拠点とする。
 我々の研究目的は、隠れマルコフモデルのような統計モデルに加え、Enhanced suffix arrayや、動的計画法のような計算手法を駆使して、ゲノム配列に隠された機能や、進化に関する情報を発見することである。比較ゲノムという方法論を用いれば、遺伝子などの由来を知ることができ、その機能に関しても知見を得ることができる。また、共進化を発見することにより、複数の遺伝子座の相互作用を明らかにすることができる。
 最近は、進化や疾病におけるゲノムの再構成に注目している。再構成されたorthologousな領域を、統計的に厳密に検出する手法 [1] を開発した。これにより、ゲノムや遺伝子がどのように進化したかを理解できる。



図1 ヒトゲノムの複雑な再構成と、切断点における短い相同配列

 ゲノム中の「簡単」な配列は、極めて高速に進化し、表現系や、疾病(ハンチントン病など)に関連している。我々は、このような配列を検出できるtantanという手法 [2] を開発し、他の手法よりも検出性能が優れていることを示した。



Fig.2 ゲノム中における「簡単」な配列の例

 遺伝子発現を制御するプロモータ配列や、DNAモチーフに関しても、長期にわたって研究を行っている[3]。この研究の狙いは、CpG islandのようなゲノム上の特徴的な配列の機能と進化を理解することにある。究極的には、遺伝子発現を司るDNAコードの理解を目指す。


図3 プロモータ属性の間の直接的相関(実線)と逆相関(点線)[3]

■ 共同研究

 我々は、多数の研究機関と共同研究を行っている: NCBI (USA), 早稲田大学, University of Paris VI (France), Leiden University (Netherlands)など。大規模な国際コンソーシアムFANTOM projectにも参加している[4]。本研究室の学生は、このような共同研究に参加することができる。また、柏やお台場の他研究室との交流も積極的に行う。

■ 研究環境

 本研究室では、各メンバーが、自分のアイデアを追求することを奨励する。同時に、他の研究室と合同で議論や輪講を行う。学生は世界中から受け入れる。それにより、日本語や英語を学ぶ機会が生まれ、豊かな異文化を体験することができる。

■ 参考文献

[1] Split-alignment of genomes finds orthologies more accurately. MC Frith & R Kawaguchi, Genome Biol. 2015.
[2] A new repeat-masking method enables specific detection of homologous sequences. MC Frith, Nucleic Acids Res. 2011.
[3] Explaining the correlations among properties of mammalian promoters. MC Frith, Nucleic Acids Res. 2014.
[4] A promoter-level mammalian expression atlas. FANTOM Consortium, Nature 2014.

研究室紹介

東京大学
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