がんメディカルインフォマティクス講座(国立がん研究センター東病院)

客員准教授: 山下 理宇(Riu Yamashita)
TEL:04-7134-8786
E-mail: riuyamas{at}east.ncc.go.jp
研究室HP

研究紹介

【キーワード】バイオインフォマティクス、転写制御、翻訳制御、メタゲノム解析、多層オミクス解析、がんゲノム、AI

当研究室では、東大柏キャンパスのとなりにある国立がん研究センター先端医療開発センタートランスレーショナルインフォマティクス分野として、バイオインフォマティクス技術を用いた解析により、がんの本態解明・治療開発へ向けた研究を行っています。がんメディカルインフォマティクス講座は、国立がん研究センターに集積する貴重な臨床多層オミクスデータを最大限活用し、医学・生物学・情報学を組み合わせることで、がん研究に貢献する「トランスレーショナルインフォマティクス」による新たな発見を目指しています。

がんゲノム統合解析

 がんの治療開発を進めるためには、臨床試験などで得られる質の担保された臨床情報が必要です。一方、全エキソーム解析・トランスクリプトーム解析等から得られるがんゲノムの情報のデータ量は、日に日に多くなってきました。これを統合して新知識を抽出するためには、既存の医学・生物学の知識だけではなく、どうやってデータを整理するのか・どのように抽出するのかといったバイオインフォマティクスと呼ばれる情報科学的な知識が不可欠です。当研究室では、効率の良いデータ処理のパイプラインを設計するだけでなく、データを見やすくまとめたデータベースとしてのウェブサーバの構築、状況に応じて情報抽出方法を最適化する技術などを用いて医学・生物学の有益な情報を抽出しようとしています。

転写・翻訳制御解析

がんのメカニズムや薬の効果を調べるためには、患者検体や動物・細胞モデル試料を用いたゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムなどの多層オミクス解析のデータを欠かすこともできません。特にがんでは異常な転写・翻訳が生じることが知られています。当研究室では、正確な転写開始点の情報とその他のオミクス情報を利用することで、例えば放射線治療下におけるがん細胞における転写制御に着目した研究を行っています。また、non-coding RNAにも着目し、がんに特化したデータベース構築や翻訳される可能性についての研究を進めています。

メタゲノム解析

現在、ヒトに存在する微生物を網羅的に調べたマイクロバイオーム情報も蓄積してきています。がんとの関連も注目され、免疫チェックポイント阻害剤や一部の分子標的薬の奏効が、腸内細菌叢と関連があることが報告されてきています。当研究室では、微生物叢がどのくらい豊富に存在するかという新たな指標を定義することで、より精度の高い推定を行うことを目指しています。さらに、実際のがん患者の糞便等の検体を用いて腸内微生物叢を推定し、AI技術により治療効果を予測できるシステムの構築を目指しています。

研究室紹介

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