研究室紹介

メディカルサイエンス群/連携大石研究室
(生命機能分子工学講座・産業技術総合研究所)

地球上のほとんどすべての生物には、地球の自転周期に一致した約24時間周期の概日(サーカディアン)リズムを刻む体内時計が存在している。哺乳類の時計遺伝子が初めて発見されてから10年余りが経過し、体内時計のリズム発振機構が、時計分子間の転写調節を中心としたフィードバックループモデルによって説明できるようになってきた。哺乳類における体内時計の中枢は、脳内視床下部の視交叉上核に存在しているが、時計遺伝子の発現は肝臓や心臓、血球細胞に至るまでほぼ全身において認められ、培養細胞においても自律的なリズムを刻む体内時計の存在が明らかとなっている。一方、体内時計は、睡眠障害やうつ病などの精神疾患や、癌、糖尿病や肥満、高血圧といった生活習慣病の発症とも深い関係にあることが明らかとなってきたが、その詳細な分子メカニズムについては未だほとんど解明されていない。我々は、体内時計のリズム発振機構とともに、睡眠障害や生活習慣病などの疾患発症と体内時計の関連について、時計遺伝子を中心とした分子メカニズムの解明を目指して 研究を行っている。さらに我々は、食を中心とした生活習慣による生体リズムの積極的操作を目指し、疾患の予防・改善や時間薬理学、時間栄養学分野へ貢献したいと考えている。

研究キーワード
時間生物学、体内時計、サーカディアンリズム、時間栄養学、睡眠
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