研究室紹介

メディカルサイエンス群/連携本田研究室
(生命機能分子工学講座・産業技術総合研究所)

我が国の医薬品の輸入超過額は2兆円を超え、国民医療費の多くが最終的に国外に流出しています。この医療経済の貿易不均衡は喫緊の社会問題で、そのような支出は国内経済に還元され国民福祉の原資として循環するような社会環境を整えなければなりません。このため「日の丸」印の医薬品の拡大、とりわけバイオ医薬品分野における創薬と生産の国産技術革新と内製化が求められています。我々は、『知る生物学、操る生物学から、創る生物学へ』をモットーに、バイオ医薬品の創薬・生産に資するオリジナルな基盤技術の構築をめざし、関連するタンパク質工学および合成生物学の研究を理論と実験の両面から進めています。 具体的なテーマとしては、創薬関連として、低親和性ペプチドを高親和性タンパク質に変身させる分子創製技術、医療用サイトカインの主鎖環状化による薬物動態向上、先回り進化による薬剤耐性菌の耐性メカニズムの解明、ヒト膜タンパク質受容体阻害剤スクリーニング技術、製造関連として、次世代抗体医薬品向けのアフィニティリガンドの開発、製剤関連として、抗体医薬品の凝集化反応の分子機構の解明と凝集化予測理論の構築、品質管理関連として、物理化学的ストレスを受けた構造劣化抗体を特異的に識別する化学プローブの開発、微量の構造劣化抗体を検出する高感度分析装置の開発、タンパク質基盤科学として、次世代シーケンサーとバイオインフォマティクス活用によるスクリーニング確度の向上、自然言語構造を模した人工タンパク質のデザイン、自然界に存在しない立体構造を形成する人工タンパク質のデザイン、などを行っています。これらを通じて、生物システムの俯瞰的な理解と工学的価値のある産業応用シーズの提供を目指しています。大学とは異なる雰囲気の国立研究所の中で実用を意識した研究生活を経験してみたい人の入学を歓迎します。詳細はホームページを参照ください(「東大 本田研」で検索!)。

研究キーワード
タンパク質工学、進化分子工学、合成生物学、バイオ医薬品、治療用タンパク質、
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