研究室紹介

メディカルサイエンス群/兼担四柳研究室
(医科研 感染症分野)

 我々の研究室は新しい陣容で出発したばかりである。  研究室は日本のHIV研究の草分け的存在であり、これまでも基礎研究・臨床研究で多くの成果を挙げてきた。HIV感染症は治療の進歩により、後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症して亡くなることは少なくなった。代わって問題になってきているのは(1)免疫寛容状態に基づく悪性腫瘍の合併、(2)HIVそのものを排除することが難しいこと、(3)健常人に比べ加齢の進行が速く、生活習慣病を早期に合併すること、が挙げられる。(1)と(3)に関しては大規模な臨床研究・基礎研究が全国規模に開始されており、当研究室も研究の中核を担っている。また、(2)に関しても現在研究を開始すべく準備を進めている。将来的には基礎研究の成果を診療の場に還元するトランスレーショナルリサーチを医科学研究所の他の研究室とも連携しながら展開していく予定である。  教室責任者の四柳は肝炎ウイルスに関しても基礎的な研究をこれまで行ってきた。HBV, HCVはHIVと共通点の多いウイルスである。ウイルス肝炎の自然経過や発癌に関与するウイルス側要因を解明してきた。今後はこうした研究を押し進める一方で、医科学研究所の特長を生かし、肝炎に伴う様々な自己免疫現象、肝炎と他の感染症との関連についても研究を展開する予定である。  慢性感染症は主な感染臓器だけではなく全身の臓器に影響を及ぼす。そのような魅力が感じられる研究を学生諸君と一緒に行っていきたいと思っている。

研究キーワード
HIV感染症、ウイルス肝炎、ウイルス発癌、生活習慣病
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