研究室紹介

メディカルサイエンス群/兼担尾山研究室
(医科研 疾患プロテオミクスラボラトリー)

次世代の生命科学研究における中核の一つとして注目されてきたプロテオミクス研究は、超高感度ショットガン解析を可能とする次世代型質量分析システムの登場により、数千のタンパク質の動態を一度に俯瞰することができるようになってきています。当分野では、ゲノム科学の進展によって得られた大量のゲノム・トランスクリプトーム情報を基に、細胞内タンパク質の全体像(プロテオーム)やそれらの翻訳後修飾の全体像(モディフィコーム)の網羅的計測を通して、翻訳制御やシグナル伝達をはじめとする生命システムの構築理論に迫ることを試みています。また、タンパク質安定同位体ラベル化技術を基盤とした高精度相対定量プロテオーム解析技術を軸に、プロテオームやモディフィコ―ムに関する時空間動態解析を行う技術基盤の確立を併せて推進しています。現在、リン酸化などの翻訳後修飾によるタンパク質相互作用ネットワークの動的な制御機構の解析に焦点を当て、医科学研究所内外の各種疾患解析をリードするグループとの共同研究により、乳がん・脳腫瘍など疾患ごとの相互作用ネットワークの特性をシステムレベルで記述し、数理科学・統計科学的手法を用いて創薬ターゲットの探索を理論的に行う情報解析基盤の構築を進めています。 当研究室ではプロテオミクスを軸として分子生物学、分析化学、情報科学などを組み合わせ、タンパク質が織り成す複雑な生命現象をシステムとして理解し、制御することを目標としています。

研究キーワード
プロテオミクス、ネットワーク解析、癌、シグナル伝達、翻訳制御
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