研究室紹介

医療イノベーションコース/兼担野島研究室
(医科研 先端医療開発推進分野)

本研究室の研究活動: 東京大学医科学研究所 TR・治験センターにおいて臨床試験や臨床疫学研究における研究デザインおよび統計解析を担当し、共同研究の形で数多くの論文報告を行っています。交絡や変数間の相関を考慮した解析、統計的予測モデルの作成などを行い、擬似相関を見抜き真の関連を発見すること、医学や社会に役立つ統計モデルを作成することを常に心がけております。また、環境疫学研究やメタボロミクスなどのオミクスデータを利用した疫学研究にも携わっており、生物統計学で利用される基本的な解析手法に加え、クラスタリングなどのデータマイニング手法、LASSOやRandom Forest等の機械学習的手法を利用した解析も取り入れています。 また、がんエピジェネティクス、特にDNAメチル化について大規模データを利用した検討にも長く携わっており、近年の研究において、DNAメチル化のマイクロアレイデータと遺伝子発現アレイデータ、miRNA(マイクロRNA)の発現データ等を統合し、遺伝子発現制御を統計モデルで表現することで、癌組織におけるエピジェネティクス変化とその意義について報告しました(Nojima et.al, Mol Cancer 2016)。 最近では、厚労省のNDBデータベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/reseputo/index.html)を利用した、特定健診・特定保健指導の効果を検討する、いわゆる「データベース疫学研究」にも力を入れております*。本邦では、こうしたデータベース疫学研究が進んでいないことも、コロナ禍においてインパクトのある臨床研究が発表されない理由の一つだと考えています。 *2021年度科学研究費補助金 基盤研究(C) 介入効果の高いサブグループ特定等を目的とした特定健診・特定保健指導の評価研究 研究テーマは多岐に渡っておりますが、いずれもデータサイエンスが研究手法の軸となっており、関心のあるテーマに対してビッグデータを利用した統計的解析を進める、といったアプローチになっています。 内科医師のバックグラウンドがあるため、検査値や臨床情報を活用したヘルスサイエンスに力を入れていくことを考えており、医療従事者、疫学研究者として関心のあるリサーチクエスチョンに答えるためにデータサイエンスを学びたい、一緒に研究をしていきたい、という意識を持った方を歓迎致します。オミクスデータと臨床的な予後、医学的な表現型などとの関連を探求する、といったアプローチも考えられるでしょう。

研究キーワード
疫学、生物統計、医学研究デザイン、ビッグデータ、NDB、臨床試験、臨床疫学、エピジェネティクス、バイオインフォマティクス、DNAメチル化、機械学習、社会医学
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