研究室紹介

メディカルサイエンス群/連携片山研究室
(がん分子標的治療学講座・がん研究会がん化学療法センター)

当研究室では、がん分標的治療薬創製に向けた基礎研究・創薬研究として、がん研有明病院の医師と連携しながら臨床検体も活用し、以下の4つのテーマを中心に研究しています。 1) 現在、肺がんをはじめ様々ながんの治療薬として広く用いられているがん分子標的薬は、その適応となる遺伝子異常を有するがんにおいては、進行がんであっても劇的な腫瘍縮小効果を示すことが多いですが、数年以内に薬剤耐性腫瘍が出現することが問題です。我々はこの獲得耐性の分子機構を、実際の臨床検体を用いて次世代シーケンス解析と細胞生物学的手法を駆使することで明らかにするとともに、耐性克服療法の探索や、より有効な分子標的薬の創製、そして、なぜ耐性出現から逃れられないかの解明を目指しています。 2) 当研究室では過去に、転移がん細胞表面に発現している血小板凝集因子として、Podoplanin(別名Aggrus)を同定しています。この転移促進因子Podoplaninは血小板上のCLEC2分子と結合し、血小板の活性化を誘導しますが、この両者の結合を阻害する中和抗体や、低分子化合物を創製し、転移阻害薬として臨床応用することを目指しています。また、Podoplanin等により活性化された血小板が腫瘍において有する生理的役割の解明といった基礎研究と、血小板活性化が新たな治療標的となりうるかといった研究を行っています。 3) がんの新たな薬物療法として、近年様々ながん種において幅広く使用されるようになってきた免疫チェックポイント阻害薬などのがん免疫療法は、2~4割程度の患者において長期にわたる治療効果が期待されています。しかし、がん分子標的治療薬と同様に獲得耐性が生じることが問題です。我々は、臨床検体と同系マウス腫瘍モデルを用いてがん免疫療法における治療抵抗性機構の解析と、その克服法の探索を行っています。 4) 進行大腸がんの治療においては、殺細胞性抗がん剤を組み合わせた薬物療法が主流であり、抗EGFR抗体や血管新生阻害薬と殺細胞抗がん剤との併用療法以外では、がん分子標的薬はまだ広く用いられていません。我々は、進行大腸がん手術検体より培養細胞株を多数樹立し、それらを用いた新規治療標的と治療法の探索研究を行っています。

研究キーワード
薬剤耐性、がん免疫、分子標的探索、がん転移、血小板
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